令和6年度 地域課題対応支援事業

No.14 学校と美術館の連携事業 2024 学校教育とミュージアムラーニングの接続から新たなミュージアムの価値の創造へ

No.14 学校と美術館の連携事業 2024 学校教育とミュージアムラーニングの接続から新たなミュージアムの価値の創造へ)

実行委員会

岡山県立美術館 学校と美術館の連携委員会

中核館

岡山県立美術館

事業目的

2010年~2022年度までの事業は、すべての子どもたちが、文化的で豊かであることを目指す学校と当館の共働プログラムで、双方の連携を図りながらともに地域や社会に開かれた姿を目指す事業として取り組んできた。12年間の事業を受けて、昨年度から、学校との連携を軸に、新たに岡山カルチャーゾーン内の5つのミュージアムとも連携を図り、「あらゆる利用者」に目を向けて学校教育とミュージアムラーニングのゆるやかな接続をデザインしながら、ミュージアムが多様な人々にとって「第3の場所」となることを目的に事業をスタートさせた。事業に取り組むことをとおして、「利用者(潜在的利用者を含む)」について考え、今まで取り組みができていなかった「学校や地域社会に接点を持ちにくい、あるいは、生きづらさを抱えている人々」をサポートしている機関との連携の在り方が見え始め、新たなミュージアム活用の可能性が起こり始めている。  
今年度は、ミュージアムが多様な人々にとっての「第3の場所」となるために一歩踏み込んだ活動を行う。

事業概要

1.環境基盤整備方針の検討
 (1)連携委員会・各ワーキンググループ会合の開催
  ⇒ミュージアムの機能やコンテンツを活用するために、当事者や関係諸機関、先進事例実践者(アドバイザー)と共働したフレームづくりの検討

2.中高生、UM、福祉の視点からのアプローチ
 「中高生が主体となる中高生プログラム」「当事者が主体となるUMプログラム」「ひきこもり当事者や子育ての孤独を抱える当事者が主体となるプログラム」の実施(現在行っているプログラムを当事者と共に検討し直すことも含めて)
 (1)企画・検討会(当事者や関係諸機関との共働)
 (2)先進事例の調査
 (3)プログラムの実施・アンケート&聞き取り

3.カルチャーゾーン・ミュージアムラーニング連携からのアプローチ
 R6年度作成した「ミュージアムの使い方<あいうえお>」の追跡調査・使用状況等を調査し、媒体を変えたミュージアムの使い方の作成を試みる。同時に、ミュージアムの機能やコンテンツの魅力を発信する企画をミュージアム連携で行う。
 (1)企画・検討会(当事者や関係諸機関との共働)
 (2)先進事例の調査
 (3)研修会(ミュージアムスタッフ)
 (4)追跡調査(HPアクセス数等の追跡や学関係者向けアンケートの実施)&プログラム参加者へのアンケートや聞き取り

実施項目・実施体系

1.環境整備基盤方針の検討
(1)(2) 連携委員会、各ワーキンググループ

2.中高生、UM、福祉の視点からのアプローチ
(1)企画・検討会
(2)先行事例調査(関係機関等4か所)
(3)プログラムの実施
①小学生&高校生×ミュージアム(2本)
②やさしい日本語×ミュージアム(3本:うち1本は、ひきこもり支援プログラムをかねる
③ひきこもり&若者支援×ミュージアム(2本)
④放課後等デイサービス×ミュージアム(1本)
⑤UMプログラム「暗闇ワークショップ」(1本)
(4)アンケート・個別インタビューの実施

3.カルチャーゾーン・ミュージアムラーニング連携からのアプローチ
(1)企画・検討会
(2)プログラムの実施
①やさしい日本語×ミュージアム「2024 夏プロジェクト」実施
②ミュージアムの使い方「あいうえお」第2弾<動画編>の作成
(3)追跡調査&アンケートの実施

実施後の成果・効果等

 小高生、UM、福祉の視点から美術館プログラムを企画・検討する際、地域や社会に生きづらさを抱えている当事者(マイノリティ)を対象としたプログラムを行うと同時に、当事者に対してマジョリティに属する人たちを巻き込むことを目的としたプログラムも並行して行うように努めた。どちらの参加者も、地域や社会の課題を主体的に考える機会となったことがうかがえる。また、事業を行う際、当事者と言われる方に積極的に事業に参画してもらうように、そして、当事者に関わる関係諸機関のノウハウをプログラムの中に盛り込むよう努めた。そのことにより、マイノリティと言われる方のプログラムへの参加がみられるようになった。
 カルチャーゾーン・ミュージアムが連携して取り組んだ「やさしい日本語事業」は、在住外国人だけでなく、多様な立場の人々にも需要があることが実証された。継続して取り組むことと、そして「交流・対話の促進」が次年度の方向性として挙がってきた。また、「ミュージアムの使い方”あいうえお”」は、PDF版の活用状況をアンケートとアナリティクスの導入で継続して追跡調査を行っている。学校団体観覧等の事前打合せで先生方に積極的に紹介し活用促進に努めた。今年度は、第2弾として「動画編」を制作した。ODF版と動画編をふまえて、第3弾「漫画編」の企画を進めている。

事業実績(PDF)

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